犬の病気事典

「うちの子、妊娠してないのにお乳が出てる…？」そんなときに考えられるのが**偽妊娠（ぎにんしん）**です。 この記事では、犬の偽妊娠の症状・原因・対処法・予防策まで、獣医師の視点をもとに分かりやすく解説します🐶✨愛犬の体や行動の変化に不安を感じたら、ぜひ参考にしてください。 🐾 偽妊娠ってどんな病気？ 偽妊娠とは、妊娠していないのに、妊娠しているかのような体や行動の変化が起こる状態です。 特に発情後のメス犬によく見られ、こんな変化が現れることがあります： 乳腺が張る お乳（乳汁）が出る 巣作りを始める（毛布を運ぶ・隠れるなど） おもちゃやクッションを「赤ちゃん」のように扱う ⚠️ 命に関わる病気ではありませんが、愛犬にとってはつらい状態になることもあるため注意が必要です。 🔍 偽妊娠の主な症状とは？ 症状は個体によって異なりますが、代表的なものは以下のとおりです。 （妊娠していないのに）乳が出る 乳腺が腫れる、熱をもつ 巣を作るような行動をする 気分が不安定になる 食欲の増減や無気力 🧸「お気に入りのぬいぐるみを赤ちゃんのように守る」行動が見られる場合もあります。 🧬 偽妊娠の原因はホルモンバランスの変化 偽妊娠の正体は、ホルモンの影響によるものです。 メス犬は、妊娠していなくても発情後に「プロゲステロン」というホルモンが分泌されます。このホルモンの量が減少すると、今度は「プロラクチン」という乳腺を刺激するホルモンが増え、体が妊娠したと誤認してしまうのです。 💡つまり、妊娠していないのに妊娠したかのような変化が起こるのは、自然な体の反応なんです。 💊 治療は必要？どう対処すればいい？ 多くの場合、偽妊娠は時間とともに自然におさまります。 ただし、以下のような場合は獣医師への相談がおすすめです： …

犬の偽妊娠とは？症状・原因・治療・予防までやさしく解説！ 続きを読む

授乳中の母犬に多く見られる「乳腺炎（にゅうせんえん）」。「なんだか元気がないな…」と思ったら、実は乳腺に炎症が起きていた！なんてことも。この記事では、犬の乳腺炎の症状や原因、治療法から予防のポイントまでを、飼い主さん向けに分かりやすく解説します。🐶 🔍 乳腺炎ってどんな病気？ 乳腺炎とは、乳腺に炎症が起こる病気で、主に授乳中の母犬に見られます。細菌の侵入や乳汁の滞留（うったい）などが原因で、乳腺が腫れたり熱を持ったりします。 見た目では分かりづらいことも多いため、普段の様子の変化に早く気づくことが大切です。 ⚠️ こんな症状が見られたら注意！ 乳腺炎のサインには、以下のようなものがあります： 元気がない、すぐに疲れる 発熱（体が熱く感じられる） 食欲が落ちる 乳腺が腫れて熱を持つ 触られるのを嫌がる 妊娠していないのに乳が出る、または乳腺が張る 乳汁の色がいつもと違う（赤っぽい・黄色っぽいなど） 💡ポイント命に関わる危険性は比較的低いですが、放置すると症状が悪化することも。特に元気消失や高熱が見られる場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。 🐾 原因はどこに？主な要因をチェック！ 乳腺炎の主な原因は以下の通りです： 👶 授乳中の傷口からの細菌感染　子犬の歯や爪が母犬の乳頭に傷をつけ、そこから細菌が侵入します。 🍼 急な離乳による乳汁うっ滞（うったい）　乳をあげるタイミングが急に減ると、乳腺に乳がたまり、炎症を起こしやすくなります。 これらの原因は、適切な授乳管理や環境整備で予防可能です。 💊 治療方法は？ 乳腺炎になった場合、動物病院での治療が必要です。主な治療法は： 抗生物質や抗炎症薬の投与 乳腺のうっ滞を和らげるケア 必要に応じて授乳を中止し、人工哺乳へ切り替えることもあります …

犬の乳腺炎とは？症状・原因・治療法・予防策までまるっと解説！ 続きを読む

犬の「ブルセラ症（ブルセラ病）」という病気をご存知ですか？あまり耳なじみがないかもしれませんが、実は不妊や流産の原因となる細菌感染症であり、人にもまれに感染する人獣共通感染症（ズーノーシス）の一つなんです。 この記事では、ブルセラ症の症状・原因・治療法・予防のポイントまで、飼い主さんが知っておくべき情報を分かりやすくまとめました🐶✨ 🦠 ブルセラ症ってどんな病気？ ブルセラ症は、**ブルセラ・カニス（Brucella canis）**という細菌に感染することで起こる感染症です。 🐾 主に生殖器に影響が出る病気で、オス・メスどちらも不妊の原因になります。🐾 また、この菌はまれに人にも感染することがあり、特に免疫力が低い人は注意が必要です。 ⚠️ こんな症状に注意！ 感染しても、健康状態が著しく悪くなることは少ないのですが、繁殖に関するトラブルが多く見られます。 ♂ オスの主な症状 精巣（睾丸）の腫れ → 時間が経つと縮む 精子の質が低下する 無精子症になり、不妊に   ♀ メスの主な症状 妊娠後期（40〜50日頃）に流産・死産 一度かかると、その後も不妊や流産を繰り返すことがある 👀見た目にわかりやすい症状が少ないため、気づかないうちに広がってしまうケースもあるのが怖いところです。 🧬 感染経路は？どうやってうつるの？ ブルセラ症は、以下のような経路で感染します👇 感染犬の子宮分泌物、尿、流産した胎児や出産時の分泌物などに口や鼻を近づける（経口感染） 交尾による感染 …

犬のブルセラ症とは？不妊や流産を引き起こす感染症に注意！ 続きを読む

「Q熱（キューねつ）」という言葉、あまり耳慣れないかもしれません。でも実は、犬にも人にも感染する可能性がある「人獣共通感染症（ズーノーシス）」のひとつなんです。 今回は、犬のQ熱について、症状や感染経路、治療・予防法まで、やさしく丁寧に解説します。🐶「うちの子も大丈夫？」と気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。 🧫 Q熱ってどんな病気？ Q熱は、**コクシエラ・バーネッティ（Coxiella burnetii）**という細菌が原因で起こる感染症です。 この細菌はとてもタフで、環境中でも長く生き残る性質があります。感染源は犬だけではなく、猫・牛・羊・鳥類など多くの動物が対象。また人にも感染するため、人獣共通感染症として知られています。 ⚠️ 犬のQ熱の症状とは？ 🐾 多くの犬は「無症状」 犬がQ熱にかかっても、ほとんどの場合は無症状です（専門的には「不顕性感染」といいます）。そのため、飼い主さんが気づかないまま、知らず知らずのうちに感染していることも。 ただし、ごくまれに以下のような症状が見られることがあります。 📋 稀に見られる症状 発熱（軽度） メス犬の流産・死産 不妊傾向 ※命にかかわるようなケースは少ないですが、繁殖犬を飼っている方や、妊娠中のメス犬がいる家庭では注意が必要です。 🦠 感染経路は？どうやってうつるの？ Q熱の感染ルートは、ちょっと意外なところにも潜んでいます。 🚫 主な感染経路 感染動物の排泄物（尿・糞便・胎盤など）をなめる 空気中に漂う菌を吸い込む（エアロゾル感染） マダニに咬まれる とくに、動物の出産に立ち会った後などは、胎盤や羊水に含まれる細菌に注意が必要です。 また、日本国内でも犬の抗体保有率が1〜2割程度あるとされており、決して珍しい病気ではないことがわかっています。 💊 …

犬のQ熱とは？症状や感染経路、予防法をわかりやすく解説！ 続きを読む

犬が下痢を繰り返していたり、なんだか元気がない…そんなとき、もしかすると「糞線虫症（ふんせんちゅうしょう）」かもしれません。特に子犬にとっては命に関わることもあるこの寄生虫病、早めの対処が大切です。 この記事では、糞線虫症の症状や原因、治療法、そして予防のポイントまで、わかりやすく解説します。🐾 🐛 糞線虫症ってどんな病気？ 糞線虫症は、「糞線虫（Strongyloides）」というごく小さな寄生虫が犬の小腸に寄生することで起こる病気です。体長はわずか2mmほどですが、体に与える影響は小さくありません。 特にブリーダーの犬舎やペットホテルなど、多くの犬が集まる場所では感染のリスクが高まります。とくに免疫が弱い子犬は重症化しやすく、放っておくと命に関わるケースもあるため注意が必要です。 ⚠️ 主な症状と重症化のリスク 糞線虫に感染しても、成犬では症状があまり出ないこともあります。しかし、子犬の場合は深刻な症状が現れることが多いです。 📋 よく見られる症状 水のような下痢（特に子犬では激しい下痢になることも） 体重が減ってやせてくる 成長が遅れる（発育不良） 食欲不振や元気消失 さらに、生後間もない子犬が感染すると、急性出血性腸炎を起こし、重度の衰弱から命に関わることもあります。 🧬 感染経路は？どうやってうつるの？ 糞線虫はとてもやっかいな存在で、さまざまな経路で犬の体内に侵入してきます。 🦠 主な感染ルート 経口感染：感染した犬の糞便に含まれる幼虫を口にしてしまう 経皮感染：幼虫が皮膚を突き破って体に侵入する（散歩中に土などから感染） 経乳感染：母犬の母乳を通じて子犬にうつることも 体内に入った糞線虫は、小腸の粘膜に寄生してダメージを与えます。また、血管を通って肺に移動することもあり、咳や皮膚炎などの症状が出るケースもあります。皮膚がかゆくなったり赤くなったりするのは、この影響かもしれません。 💊 治療法：駆虫薬でしっかり退治！ 糞線虫症の治療には、イベルメクチンなどの駆虫薬（虫下し）が使われます。これにより寄生虫を駆除することができますが、1回の投薬だけでは完全に駆除しきれないことも。 そのため、以下のような対応が必要です。 ✅ …

犬の糞線虫症とは？症状・感染経路・治療法までやさしく解説！ 続きを読む

愛犬が繰り返す下痢…。実はそれ、「ジアルジア症」という寄生虫感染が原因かもしれません。 特に子犬や免疫力の低い犬にとっては、発育に影響を及ぼすこともある病気なので、早めの気づきと対応が大切です🐶⚠️ この記事では、ジアルジア症の原因・症状・治療法・予防のポイントを、専門的な視点からわかりやすく解説していきます！ 🦠 ジアルジア症ってどんな病気？ ジアルジア症は、「ジアルジア」という原虫（げんちゅう）が小腸に寄生することで起こる感染性の下痢症です。 この原虫が腸内に住みつくと、食べ物から栄養をうまく吸収できなくなり、下痢や体重減少、発育不良といった症状があらわれます。 特に子犬や若い犬では重い症状になりやすく、ペットショップやブリーダー施設などでは集団感染が起こることもあります。 🚨 症状：こんなサインに要注意！ ジアルジアに感染しても、健康な成犬では無症状のことが多いです。 ただし、子犬や免疫力が弱っている犬では、次のような症状が見られます： 🐾 主な症状 やわらかい便や水っぽい下痢が続く 便のにおいがきつい（腐った油のような悪臭） 便の量が多く、色が白っぽい 食欲があっても体重が減る 元気がなくなる 発育が遅れる 💡 特徴的なのは、下痢が良くなったり悪化したりを繰り返すこと。慢性的な下痢が続く場合は、すぐに動物病院へ相談しましょう。 🧫 原因：どうやって感染するの？ ジアルジア症は、「ジアルジアのシスト」と呼ばれる卵のような形態を口から取り込むことで感染します（経口感染）。 このシストは、感染している犬の便に含まれており、以下のような状況で他の犬に広がります。 🦴 感染のきっかけ 🐕‍🦺 放置された犬のフンに触れる …

犬のジアルジア症とは？子犬がかかりやすい寄生虫の症状・治療・予防法を解説 続きを読む

犬と暮らすうえで気をつけたい寄生虫のひとつが「回虫（かいちゅう）」です。特に子犬には深刻な症状を引き起こすこともあるため、正しい知識と予防がとても大切です。 この記事では、犬の回虫症について、飼い主さんにわかりやすく丁寧に解説していきます🐶✨ 🐛 回虫症ってどんな病気？ 回虫症は、「犬回虫（いぬかいちゅう）」という寄生虫が小腸に住みついてしまう病気です。主に消化器系に不調が出て、下痢やお腹のふくらみ、発育不良などの症状が見られます。 この病気は「トキソカラ症」とも呼ばれており、特に子犬がかかりやすい傾向があります。 ⚠️ 感染経路は？どこからうつるの？ 犬回虫の感染ルートは意外と多く、以下のようなパターンがあります： 🤰 胎内感染：お母さん犬の体内から、まだ生まれていない胎児にうつる 🍼 乳汁感染：授乳中に母乳からうつる 🌱 経口感染：公園などで土をなめたり、汚染されたものを食べて感染 🐭 補食感染：ネズミなどの小動物を食べたときにうつる このように、目に見えない虫卵が身近に潜んでいるため、完全に防ぐには日常的な注意が必要です。 🩺 症状はどんな感じ？ 特に子犬に多く見られるのが以下の症状です。 🐶 子犬に多く見られる症状 お腹がふくらんでいる（ポッコリお腹） ぐったりして元気がない 食欲があるのに太らない 下痢や嘔吐 発育が遅れる 毛ヅヤが悪い 貧血ぎみになる …

犬の回虫症とは？原因・症状・治療・予防をやさしく解説！ 続きを読む

「最近うちの子、ふらついたり痙攣したりするけど、これって大丈夫…？」そんな不安を抱える飼い主さんに知っておいてほしいのが、**門脈シャント（もんみゃくシャント）**という病気です。 肝臓に関係するこの病気、早期に気づいて対処することで、愛犬の命を守ることができます。🐶 🧠 門脈シャントってどんな病気？ 門脈シャントとは、肝臓に流れるはずの血液が、別のルート（シャント）を通って全身に流れてしまう異常です。 本来なら肝臓で**毒素（アンモニアなど）**を分解・解毒するはずですが、それができずに血液中に毒素が残ってしまうため、体のあちこちにさまざまな症状が出てしまいます。💥 ⚠️ 見逃さないで！門脈シャントの主な症状 この病気は**「肝性脳症（かんせいのうしょう）」**という状態を引き起こし、脳にまで影響が及ぶことがあります。 よく見られる症状 💧 よだれが増える ⚖️ やせてきた（体重減少） 🧍‍♂️ 歩き方がおかしい、ふらつく 💥 痙攣（けいれん）を起こす 🐾 成長が遅い（発育不良） 🍽 食欲が落ちる 👁 一時的に見えなくなる（盲目） 💡 症状は特に食後に強く出ることがあり、食べた直後に元気がなくなる場合は注意が必要です。 🐕 好発犬種は要チェック！ この病気は特定の犬種で多く見られます。以下の犬種を飼っている場合は、特に注意が必要です。 シェットランド・シープドッグ（シェルティ） …

犬の門脈シャントとは？症状・原因・治療法をわかりやすく解説！ 続きを読む

愛犬が「心室中隔欠損症（しんしつちゅうかくけっそんしょう）」と診断されたら、不安でいっぱいになりますよね。💦この記事では、この病気の仕組みから症状、治療方法、そして飼い主さんができることまで、わかりやすく解説します。🐶 🫀 心室中隔欠損症ってどんな病気？ 心室中隔欠損症とは、生まれつき心臓の左右の心室の間にある「壁（中隔）」に穴があいている状態のことです。 その穴から血液が左心室から右心室に流れてしまい、正常な血流が乱れてしまいます。その結果、心臓や肺に大きな負担がかかることがあるんです。😢 🔍 こんな症状が出たら要注意！ この病気は、欠損している穴の大きさによって症状が異なります。 小さな欠損の場合： ➡️ 特に症状が出ないこともあります（無症状）。➡️ でも、油断せずに定期的な検診が大切です。 大きな欠損の場合： 以下のような症状が見られることがあります。 😴 元気がない、すぐ疲れる 🐾 成長が遅い（発育不良） 🍽 食欲がない 🌬 息が荒い、苦しそうに呼吸する 💨 咳をよくする ⚖️ 体重が増えない、やせてきた 特に運動後に疲れやすい子は、注意してあげてくださいね。 🧬 原因は先天性の発達異常 心室中隔欠損症は、生まれつき「心室中隔」と呼ばれる壁がうまくできていないことが原因です。 …

犬の心室中隔欠損症とは？原因・症状・治療法をわかりやすく解説！ 続きを読む

「うちの子のおへそ、ちょっと出てる気がする…」そんなふうに感じたことはありませんか？それ、犬の臍（さい）ヘルニアかもしれません。 見た目は単なる“出べそ”でも、放っておくと危険なケースもあるんです⚠️今回は、犬の臍ヘルニアについて、原因から治療法、予防のポイントまで、やさしく詳しく解説します。 👀 犬の臍ヘルニアってなに？ 臍ヘルニアとは、おへその部分の筋肉（腹壁）がうまく閉じなかったために、そこから脂肪や内臓が飛び出す状態のことをいいます。いわゆる“出べそ”がこれにあたります。 本来、へその部分は生後すぐに自然に閉じるのですが、何らかの理由で穴が残ってしまうと、そこに内臓の一部が入り込んでしまうことがあります。 ⚠️ 主な症状と注意すべきサイン 臍ヘルニアの症状は、小さい場合は見た目以外に特に問題がないこともあります。しかし、大きくなると腸などの臓器が入り込み、重大な症状を引き起こすことも…！ 🐾 こんな症状があったら要注意！ おへそのあたりがポコッと膨らんでいる（出べそ） 触ってもへこまない、熱を持っている 嘔吐、元気がない、食欲の低下 お腹をかばって丸まる・痛がる様子 便秘がちになる 🔴 特に腸が入り込んで戻らなくなると、「腸閉塞（ちょうへいそく）」を起こし、ショック状態に陥ることもあります。 🧬 原因：なぜ臍ヘルニアになるの？ 臍ヘルニアの多くは**先天性（生まれつき）**のものです。つまり、母犬のお腹の中にいるときから発生している可能性があります。 一部の犬種では遺伝の影響もあるとされており、以下のような犬種は注意が必要です。 🐶 関与が疑われる犬種 エアデール・テリア バセンジー ペキニーズ　など 原因がはっきりしないことも多いですが、品種や遺伝的な要因が関係していることもあるようです。 🩺 治療法：自然に治る？それとも手術が必要？ …

犬の臍ヘルニアとは？症状・原因・治療法・予防のすべてをやさしく解説！ 続きを読む