犬が歩きにくそうにしていたり、後ろ足をかばうような動きが見られたら、**「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」**の可能性があります。この病気はとくに大型犬に多く見られる関節のトラブルで、早めの気づきと対処がとても大切です。
この記事では、股関節形成不全の主な症状・原因・治療法・予防策まで、獣医師監修の知識をもとにやさしく解説します。
🦴 股関節形成不全ってどんな病気?
股関節形成不全とは、太ももの骨(大腿骨)の先端が骨盤のくぼみにはまりきらない状態をいいます。うまくはまっていないことで、関節に負担がかかり、痛みや歩行異常が現れるようになります。
この病気はとくに以下のような大型犬種でよく見られます:
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ジャーマン・シェパード
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ラブラドール・レトリーバー
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ゴールデン・レトリーバー
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バーニーズ・マウンテン・ドッグ
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ロットワイラー
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セント・バーナード
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グレート・ピレニーズ など
一方で、小型犬や中型犬での発症はまれです。
⚠️ こんな症状が出たら要注意!
股関節形成不全の症状は、早ければ生後4か月ごろから見られることもあります。主な症状は以下の通りです。
🐕 よくある症状
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歩くときに腰を左右に振る
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後ろ足を引きずる、痛がる
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散歩中に途中で座り込む
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起き上がるときにぎこちない
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階段の上り下りを嫌がる
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走るとき、後ろ足をそろえて「うさぎ跳び」のような動きをする
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運動を嫌がり、元気がなくなる
これらの症状が見られたら、早めに動物病院で相談することが大切です。
🧬 主な原因は?遺伝だけじゃない!
🔍 発症の原因
股関節形成不全の発症には遺伝的な要因が大きく関係していますが、それだけではありません。
✅ 遺伝以外の要因
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子犬期の肥満(急激な体重増加)
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激しすぎる運動
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栄養バランスの崩れた食事
つまり、環境の整え方次第で予防できる可能性があるということです。
🩺 どうやって治療するの?
治療法は、犬の年齢・体重・症状の重さによって異なります。大きく分けて内科的治療と外科的治療があります。
💊 内科的治療(軽症の場合)
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痛み止め(鎮痛剤)、抗炎症薬の投与
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体重管理や食事療法
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激しい運動の制限
こうした方法で痛みを和らげたり、症状の進行を遅らせることが可能です。
🛠️ 外科的治療(重症の場合)
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関節を安定させる手術
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股関節の一部を切除する手術
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人工関節の挿入(人工股関節置換術)
外科的治療を行う場合は、犬の年齢や骨の状態をしっかり見極めて判断します。
🛡️ 予防するにはどうすればいいの?
✅ 飼い主さんにできる予防策
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子犬期からの食事管理
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成長に合ったフードを選び、栄養バランスを整える
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肥満予防
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おやつの与えすぎに注意し、適切な運動を取り入れる
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激しい運動は控える
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ジャンプや段差のある場所での運動は避ける
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子犬を迎える際には、親犬に遺伝的疾患がないか確認する
環境を整えることで、リスクをぐっと下げることができます。
🐾 まとめ:早期発見と日頃のケアがカギ!
股関節形成不全は命に関わる病気ではありませんが、生活の質(QOL)を大きく左右する病気です。
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