狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染することで発症する恐ろしい病気です。犬だけでなく、人を含むすべての哺乳動物に感染する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」の一つで、発症するとほぼ100%の致死率を持っています。
日本では長年発生がありませんが、海外では依然として多くの感染例が報告されています。この記事では、狂犬病の症状や原因、予防法について詳しく解説します。
狂犬病の主な症状
狂犬病は、以下の3つの段階を経て進行します。
前駆期(初期症状)
- 軽い発熱
- 食欲不振
- 性格の変化(攻撃的になる、逆におとなしくなる)
- 暗い場所に隠れる
狂躁期(興奮状態)
- 目の前のものすべてに噛みつく
- 過剰に吠える
- 落ち着きがなくなる
- 異物(石や枝など)を食べようとする
- 凶暴な表情に変化する
麻痺期(末期症状)
- 体が麻痺する
- 口が閉まらなくなり、よだれを垂らす
- けいれんを起こす
- 昏睡状態になり、死亡する
狂躁期の犬は非常に攻撃的になり、人や動物を噛むことでウイルスを拡散します。発症後の有効な治療法はなく、感染した犬は最終的に死亡してしまいます。
狂犬病の原因
狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれることで発症します。感染動物の唾液中には大量のウイルスが含まれており、傷口からウイルスが体内に侵入します。
感染後、ウイルスは神経を通じて脳や脊髄に到達し、やがて狂犬病の症状を引き起こします。
世界の狂犬病事情
日本では昭和32年(1957年)以降、国内での狂犬病の発生はありません。しかし、アジア・アフリカ・南米などでは今も多くの感染例があり、年間5万人以上が死亡しています。
特に、海外旅行中に犬に噛まれて感染するケースが報告されており、2006年にはフィリピンで犬に噛まれた日本人男性が帰国後に発症し、死亡しました。
日本は「狂犬病清浄国」ですが、海外からウイルスが持ち込まれるリスクは常にあるため、十分な注意が必要です。
狂犬病の治療法はある?
狂犬病は発症してしまうと有効な治療法がありません。そのため、感染が疑われる場合は できるだけ早く動物病院で処置を受けることが重要 です。
感染した犬の対応
- ワクチンを接種している犬 → 速やかに再ワクチン接種し、経過観察
- ワクチン未接種の犬 → 安楽死が推奨される場合も
狂犬病は公衆衛生上のリスクが非常に高いため、感染した動物は厳重な管理下に置かれます。
狂犬病の予防法
ワクチン接種が最も有効な予防策!
狂犬病はワクチン接種によって予防可能です。日本では「狂犬病予防法」により、生後3カ月以上の犬には年1回のワクチン接種が義務付けられています。
ワクチン接種のポイント
- 生後3カ月を過ぎたらすぐに接種
- その後は毎年1回、必ず接種する
- 海外に行く場合は、追加のワクチン接種を検討
海外旅行時の注意
狂犬病が流行している国では、野良犬や野生動物に近づかないようにしましょう。もし噛まれてしまった場合は、
- すぐに傷口を流水で15分以上洗う
- 石けんや消毒液で傷口を処理する
- 現地の医療機関でワクチンを接種する
狂犬病は発症する前であれば、ワクチン接種によって発症を防ぐことができます。

まとめ
狂犬病は、発症するとほぼ100%の致死率
感染した動物に噛まれることでウイルスが体内に侵入
発症後の治療法はなく、予防が最も重要
年1回のワクチン接種が義務付けられている
海外では今も多くの感染例があり、旅行時は特に注意
日本では長年発生がありませんが、海外では依然として脅威となっている狂犬病。愛犬と自分自身を守るために、毎年のワクチン接種を忘れずに行いましょう!
さらに参照してください:犬の口内炎とは?原因・症状・治療・予防法を解説!